【Vol.05】一宮観光いちご組合・河野一郎|人の喜びが自分の喜び

お話を伺ったのは 河野一郎さん
1959年3月10日、千葉県出身。生まれた時から一宮町で過ごし、20歳の時に実家を継ぎ、トマト栽培を始める。2002年から観光いちご園、直売所を運営している。いちご狩りは1月2日から5月中旬まで受付けている。
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一宮町はみんなが家族みたいな感じ

一宮観光いちご組合の河野一郎さんは、現在61歳。一宮町で生まれ、一宮町で育ってきた生粋の"一宮人"だ。そんな河野さんに、61年間過ごしてきたこの土地の魅力を聞くと、「わかりません」という答えが、笑顔とともに返ってきた。

「一宮は自然豊かなところで、海、山、川、田んぼや畑が広がり、温暖な気候の土地です。ただ、ここにずっと住んでいると、一宮の良さは何か?と聞かれてもあまりよくわからないんです(笑)。住みやすいとか、住みにくいとか、そういうことは考えたことがないですね」

では逆に「他の町に住みたいと思ったことはないのか?」と質問をぶつけると、「まったくないです」ときっぱり言い切った。

「なぜずっとここに住んでいるかと言われてもわからないんですけど、自分はここが一番好きなんです。ここに住んでいると、他の人たちもみんなが家族みたいな感じですから」

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町が我が家であり、住民はみんな家族。そんな環境のなか、河野さんは少年時代から、自然とともに過ごしてきた。ゲームやオモチャを使って遊ぶのではなく、一番の遊び道具は目の前にある自然。中でも海は最高の遊び場だった。一宮の海はサーフィンの名所として知られるように、波が荒くて潮が高い。海水浴には向かない場所かもしれないが、地曳網の中で遊ぶのが大好きだった。

「夏になると毎日のように海に行っていました。昔は一宮の海岸で地曳網をやっていて、万が一流されても網に引っ掛かるから、そのなかで遊んでいました。私は流されたりすることもなく、海とはうまく付き合っていたと思います。泳いでいる魚を捕まえて、手でさばいて海水でささっと洗って食べるんです。それが小さい頃の夏の楽しみでしたね」

子どもの頃からのこうした経験の影響か、地元の魚が大好きで、海が好きなのは今も変わらない。一の宮カントリー倶楽部から見える、一宮の町と海が一体となって見える景色は一番のお気に入りだ。

「一の宮カントリー倶楽部の東のコースのほうに行くと、山の上から一宮の町並みと海が開けて見える場所があります。町が見えてその先に海が見えるという自然の景色で、山の上から見ると町と海が一体になっているように見えます。大げさかもしれないけど、その景色を見ると、ここに生まれて良かったなって思いますね」

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(写真提供:一の宮カントリー倶楽部

「美味しかった」「また来ます」の言葉が嬉しい

一宮町はトマトの名産地として知られ、全国でもトップクラスの生産量を誇る。河野さんも元々はトマトの栽培をおこなっていたが、「観光いちごをやってみませんか?」という提案を受け、2002年(平成14年)から、いちごハウス・直売所の運営を始めた。直売所では、いちごをはじめ、地元の産物や新鮮野菜の販売を年中無休でおこなっている。

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いちごの栽培は、従来のトマトの栽培とはまったくの別物であり、スタート当初は失敗の連続。それでも諦めることなく、美味しいいちごをつくるために挑戦を続けた。

「最初は病気を出したり、虫がいっぱいついたり、失敗ばかりでした。いちごのことを勉強しないと前に進めないので、自分なりに勉強もしました。他県にも行って実際に施設を見て、どうやって育てているかを聞いて、持ち帰ったものを自分なりに考えて試していきました」

努力の甲斐あって現在は実に多くの品種を生産している。栽培いちごは、ロイヤルクイーン、淡雪、かおり野、章姫、紅ほっぺ、あまおとめ、さがほのか、チバーベリー、おいCベリー、越後姫、恋みのり、とうくん、さちのか(販売のみ)、とちおとめ(販売のみ)の全14種類。異なる品種を同じハウス、同じ管理で育てるのは困難を伴うが、河野さんは研究を重ねてそれを可能にした。いちご狩りに来たお客様が、いろいろな種類を楽しめるのが、このいちごハウスの魅力とも言える。

「いちご狩りというと、普通は2~3種類くらいというところが多いと思いますが、ここでは常時10種類くらいが味わえます。多種類にこだわっているわけではないですけど、家族や友達と来たお客様が、『私はこれが美味しかった』『私はこっちが好き』という具合に、みんなで自分が好きないちごを話してくれるといいかなって」

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河野さんの一日は、いちごとともにある。朝8時から朝摘みのいちごを直売所に並べるために収穫をおこない、午前中はそのいちごのパック詰め、箱詰め作業。気温が高くなる4月、5月はもう少し早い時間から収穫を始める。そして午後からはいちごの手入れ作業。3000㎡の高設栽培と、2000㎡の土耕栽培があり、広大な敷地にあるいちごたちに目を光らせる。1~5月のいちご狩りシーズンは、河野さんに休みはない。

これだけ情熱を注ぐことができる、いちご栽培の魅力とは何なのか? そう問いかけると、河野さんは、一宮町の魅力を聞いた時と同じように「ありません」と笑顔で返した。

「いちご栽培の楽しさは......ありません(笑)。栽培に対しての楽しさはないんですけど、観光いちご園としてお客様に来てもらって、帰る時に『美味しかったです』『また来ます』と言ってもらえることが一番嬉しいですね。お客様に喜んでもらえると、やっていて良かったなと思います」

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人の喜びが自分の喜び。それが河野さんの原動力だ。一宮町という、人の温かみ溢れる町で育ったからこそ、そんな考えに至ったのだろう。これからの夢も同様で、たくさんの人に喜んでもらえる施設をつくっていきたいという。

「観光農園をやっているので、これからはいちごだけでなく、サツマイモだったり、ブルーベリーだったり、総合的に1年を通してお客様に喜んでもらえるような体験ができる施設をつくっていきたいなと思っています」

たくさんの人に一宮町の魅力を知ってもらい、住民にも、観光に訪れる人にも、自分がつくったもので喜んでもらいたい。河野さんは人々の喜びを生み出すために、これからも大事にいちごを育てていく。

↓インタビュームービーはこちら

施設情報
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一宮観光いちご組合

いちご狩りは1月2日から5月中旬まで。しおさいの風たっぷりの甘くて美味しい鮮度抜群のいちごが30分食べ放題。直売店では一宮特産のマスクメロンやトマトをはじめ、地元でとれた新鮮な産物を販売しています。

住所 :千葉県長生郡一宮町東浪見8515-2
電話番号 :0475-40-0015
営業時間 :9:00~17:00(年中無休=元日を除く)
HP:http://kankouichigo.com/ichinomiya/

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