【Vol.07】御菓子司角八本店・薦田亮|歴史は大切に、でも枠組みにはとらわれない

 

お話を伺ったのは 薦田亮さん
1978年9月6日、千葉県出身。御菓子司角八本店店主。一宮町で生まれ育ち、大学時代は東京都内へ。卒業後は広告会社の営業として都内で働き、家業である御菓子司角八本店を継ぐにあたり、東京製菓学校の夜間部に入学して菓子作りを学ぶとともに、日中は和菓子店で働いて経験を積んだ。九十九里トライアスロンで完走するなど、自然のなかで身体を動かすことや、海や川での釣りを趣味としている。
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客として自分が行きたいと思えるお店を目指して

一宮町のシンボルとも言える玉前神社。その側で、御菓子司角八本店はこの町の歴史を見続けてきたと言っても過言ではない。創業は江戸時代中期から後期とされており、その歴史の長さは150年以上。そんな老舗和菓子店の現在の店主が、薦田亮さんだ。

一宮で生まれ、一宮で育ち、都心への憧れから離れた時期はあったものの、27歳の時にこの地へ帰ってきた。

「正直な話ですね、子どもの頃は"この町は退屈だな"と思って過ごしていたんです。そんなこともあって学生時代は東京に出て、そのまま都内でサラリーマンとして働いていたのですが、父親から『店を継ぐ気はあるのか』と言われまして。いろいろ考えましたが、長く続いてきた角八を私のところで止めてしまうのはどうかなと思い、この町へ帰ってくることに決めました」

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店を継ぐにあたり、日本で唯一の和菓子の専門学校である東京製菓学校に入学。現在は店の運営に集中するために、商品となるお菓子作りは職人たちに任せているが、3年間にわたる学びの時間と経験を積み、角八本店の店主を任されることになった。

これほどの歴史のある店を若くして継ぐことにプレッシャーはなかったのか?と問うと、返ってきたのは「いや、それがまったく感じていなかったんです(笑)」という答え。薦田さんの明るく前向きでポジティブな姿勢、それは当時から一貫しているようだ。

「ここで生まれ育った者なので、あまりそういうことは考えずに、良い意味で好き勝手やっています。意識しているのは、当然のことかもしれませんが『自分がお客様の立場になったときに、行きたいと思える場所』であること。歴史が古く、少し堅苦しさのある和菓子屋......というお店も他にはあるとは思いますが、はたして自分がそこに行った時に楽しめるのか?と考えると、自分としては少し違うのかなと。こういうお店があったらいいな、楽しいなと、自分が納得できる店作りを大切にしています」

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店内へ入ると、目に飛び込んでくるのはショーケースの中に並んだ「いちご大福」と「みかん大福」。一度に50個、100個と購入していく人もいるという、角八本店の"顔"と言える人気商品だ。その他にも、一宮の町を物語るように包装紙に朱色の鳥居とサーフィンを楽しむ人のイラストが描かれた「一之宮饅頭」や、この地域のシンボルでもある「長生(ながいきトマト」を使用した「長生とまとぜりー」など、和菓子から洋菓子まで、バラエティ豊かなお菓子が陳列棚を華やかに彩っている。
「玉前神社に参拝に来られた方、地元の方、県外の方......日々、多くの方が足を運んでくださり、ありがたい限りです」と話すように、朝7時の開店から客足が途絶えることなく、店内は常に人々の笑顔と楽しさで溢れている。お客の会話に耳を傾けてみると、「神社"にも"参拝してから帰ろうか」という声が聞こえてくるように、遠方から来る参拝客のみならず、この店の和菓子を目当てに一宮を訪れる人も多いことが伺い知れる。

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一宮の素晴らしさをあらためて実感した1年だった

一宮に帰ってきて、約15年。一時は都会暮らしも経験したが、「あらためてこの歳になると、こんなに素晴らしいところはないと実感しています」と、今となってはこの町で暮らすことは楽しくてしょうがないようだ。

「この町の良いところとして、解放感がありますよね。物理的な解放感もそうですし、気持ちの解放感もそう。仕事が終わってから、ふらっと海に行くと一気に気分転換になるんです。ちょうど、昨日も海沿いを駆けていたんですよ。砂浜の上でこんなに長い距離を走れる場所というのは、なかなか他にもないんじゃないですか」

近年は九十九里で行われるトライアスロン大会に出場するなど、運動が日課になっている薦田さん。「都内にいたときは健康なんてほぼ意識していませんでした(笑)」とのことだが、一宮の自然に触れるなかで、身体を動かすことの楽しさを感じるようになった。釣りという趣味も、やはりこの町だからこそ楽しみだと話す。

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「近くには川も海もあって、手軽に楽しめる釣り場があるのは素敵ですよね。少し遠出をすれば他にも釣りのスポットはありますけど、気軽に行けるのはこの一宮だからこそ。海はサーフィンの名所ではありますが、それだけではない楽しみ方もたくさんあります。大潮で海が引いていると、普段は見ることができないような、海の底にさまざまな生き物がいる様子が見えるんですよ」

自然の恩恵を受けながら、一宮で生きる喜びを感じる日々。ただ、2020年は世界的にコロナ禍のなかで、薦田さんの生活にも、角八本店にも苦労は少なからずあったのではないか。どうやってこの苦境を乗り越えたのかを問うと、返ってきたのは少し意外な答えだった。

「実はですね、去年はお店としてお客様の数が増えたんですよ。これは私のお店に限ったことではないのですが、さまざまな制限のなか行き場がなくなってしまった方々が、たくさん訪れてくれるようになったのかもしれません。ある意味それは、一宮という場所がいかに素晴らしいところなのか、コロナの時代で楽しめる要素がここにはたくさんあることを表している結果なのかなと思っています」

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豊かな自然に囲まれ、都心からのアクセスも悪くはない。地元の人にも、県外の人にも愛される一宮町。「過去の歴史も大切にしながら、これから長く続いて良い町になってほしい」というのが薦田さんの願いだが、町の発展のなかで、角八本店としても現状維持でとどまるわけにはいかない。

「サラリーマンをやっていた時のクセなんですけどね、やっぱり対前年の数字は意識していて、『去年を絶対に下回らない』という信念は常に持っています。あまりお金の話をするといやらしい話になってしまいますが、一方でそれはお客様へのサービスにもつながっていくことですので、長くお店を続けていく上では大切にしていきたいと思っています」

積み上げてきた歴史を大切にしながら、変化と進化を加えてさらなる発展を目指す。新たなチャレンジも、もちろん必要だろう。

「例えばですが、今年はバレンタインデーに合わせて、『いちご大福』にルビーチョコをかけた商品を製造したんです。『大福にチョコレートってどうなんだ』と思われる方もいたと思いますが、これがなかなかの反響があり、たくさんの予約のご連絡をいただくことができました。店の発展のためには、和菓子屋という枠組みにとらわれない、このような新しい試みをこれからも続けていきたいと思います」

↓インタビュームービーはこちら

施設情報
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御菓子司角八本店

玉前神社の門前、加納藩1万3000石の城下町として栄えた上総之国一宮に生まれた、老舗和菓子店。名物の「いちご大福」「みかん大福」は売切れてしまうこともあるので、ぜひご予約を。

住所 :千葉県長生郡一宮町一宮3012
電話番号 :0475-42-2068
営業時間 :7:00~18:00
定休日 :木曜日
HP:http://www.kadohachi.co.jp/

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